「おはようございマーす」
午前三時半。男がしっかりとした声であいさつをする。
野菜の柴三郎。去年就農したばかりの新米農家だ。
「農家は朝が早いです。最近は温かくなり、とにかく野菜の成長スピードが速いのでたくさん取ってたくさん出荷しないといけない。」
そう語る柴。今は春菊や菜の花、ブロッコリーを出荷している。最近、玉ねぎも出来てさらに忙しくなったという。
しかし、柴はとてもうれしそうだ。ヘッドライトをつけて、真っ暗な畑に向かう。
「朝早起きしてでも、早く作物を収穫してあげたい。せっかく育てたのに手が回らなくて出荷できないのは育ってくれた野菜に申し訳ない。立派に育ったものを消費者にしっかり届けておいしく食べてもらうまでが仕事。始めたばかりとは言え農家を名乗るからには最後まで野菜の命に責任を持たなくてはいけない。」
この男には頑張る理由と責任がある。
明日も明後日も早く起き、作物を収穫する。
柴にふとこんな質問をした。この生活をいつまで続けるのか。すると柴は
「無論、野菜が私を呼ぶ限り。」
と答えた。
漢一匹今日も畑に向かう。
彼のプロジェクトはまだ始まったばかりなのだ。
アグリステンバイ!
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